
久々に、面白い洋書を読んだ。スペンサー・クインという作家が執筆した「Dog on It: A Chet and Bernie Mystery」というミステリー小説だ。
冴えない私立探偵(バーニー)が失踪人探しをする、というありがちな設定なのだが、物語がバーニーの愛犬チェットの視点で描かれていくのだ。チェットは警察犬学校に行っていた優秀な犬なのだが、なにぶん動物なので、本能に邪魔されてなかなか任務に集中することができない。それでも、使命感とバーニーへの忠誠心は人一倍(犬一倍?)あって、危険のなかに敢えて飛び込んでいく。犬版のフィリップ・マーロウと言えよう。ミステリーとしても面白いのだが、なにより魅力的なのは、犬の視点で描かれる人間世界だ。
たとえば、第二章の冒頭をざっと訳してみる。
人間についてひとつ言えること。それは、ハイになるのが好きということだ。 この特徴については、これまでの仕事でいやというほど目の当たりにしてきた。酒を煽り、あれやこれを吸い、錠剤を口に放りこむ。体に針を突き刺すものまでいる始末で、これまであらゆるパターンを目撃してきたと言っていい。でも、ハイになるというのがどういう状態を指すのかについては分からず、長い間、頭を悩ませてきた。
でも、ある日、はたと気がついた。ぼくがこの世でもっとも好きなことはなんなのか? それは、ポルシェの助手席に乗ってずっと遠くまでドライブに出かけることだ。助手席に背筋を伸ばして座ると、強風がぼくの顔をぐちゃぐちゃに変えていく。景色や匂いがーーとくに匂いだーーあまりにも速いペースで駆け抜けていくので、とてもすべてを把握できない。スピードと高揚感と感動。ぼくはハイがなにかを知っていた。それまでに数え切れないほどハイを経験してきていたのだ。
どうです?
有名作家も太鼓判を押してる。
ロバート・B・パーカー「初秋
「探偵と犬、そして、メジャー級の筆致。“Dog on It”は心の底から楽しめる作品だ」
スティーヴン・キング「シャイニング
「スペンサー・クインは、サスペンス小説と犬語という二つの言語を流暢に操ることができる。ときにファニーで、ときに感動的、そしてたまにとても怖い場所に読者を導く。“Dog on It”は、ネコを主人公にしたミステリー50冊以上の価値がある。最高の存在はチェットだ。犬版サム・スペードともいえる彼は、生きる喜びに満ち満ちている。チェットは犬の魅力を体言した存在だ。人生を愛し、人間を愛している。いますぐ近くの書店に駆けこみ、この比類のない魅惑的な本に前足を伸ばすことを心からお勧めする」



























