2008-04-11

ピクサー訪問記3 『WALL・E/ウォーリー』を観た!


今日は、ピクサー訪問記の最終回。
今回は『WALL・E/ウォーリー』についてご紹介します。

アンドリュー・スタントン監督によると、『WALL・E/ウォーリー』の原案が生まれたのは1994年のこと。
当時はピクサーの第一作『トイ・ストーリー』の仕上げの真っ最中で、これからアニメスタジオとして継続させていくためには、すぐにでも新しい映画企画を複数スタートさせなきゃいけないということに気がついた。なにしろ、ひとつのCGアニメを作るのに4、5年かかるから、毎年、新作を公開するためには、同時進行で4作品は作らなきゃいけない。そのころ、ジョン・ラセターとピート・ドクター、ジョー・ランフト、そしてスタントンというメンバーで、さまざまなアイデアを出し合った。そのときに話し合ったアイデアが、のちに『バグズ・ライフ』や『モンスターズ・インク』、『ファインディング・ニモ』として世に出ることになった。


『WALL・E/ウォーリー』とは、そのときに話し合ったアイデアのひとつだという。当時は、映画のストーリーはおろか、ロボットの名前すら決まっていなかった。唯一わかっていたのは、以下の基本設定だけだった。

「もしも人類が地球を脱出するとき、ロボットのスイッチを一台だけ切り忘れたらどうなるだろう?」

その後、スタントンさんは他の映画企画で忙しくなってしまったのだけれど(なにしろスタントンさんは、名アニメーターであるだけでなく、『ニモ』までのすべてのストーリー作りにかかわっている)、『ファインディング・ニモ』が完成間近になったときに、ふと、地球に一人残されたロボットの話を思い出したのだという。そして、『ニモ』の仕上げで忙しい最中、『WALL・E/ウォーリー』の脚本を書き始めてしまったのだ。

『WALL・E/ウォーリー』の舞台は、いまから700年後。環境汚染のせいで生物が住めなくなった地球において、主人公のロボット、WALL・Eは毎日せっせとゴミ処理をしている。WALL・Eは旧式のゴミ圧縮ロボットで、毎日、ゴミをコンパクトにまとめては山積みにしているのだが、地球がゴミ惑星と化していては、いくらがんばってもきりがない。それでも、ウォーリーは同じ作業を毎日毎日繰り返す。なぜならそうプログラムされているからで、無益な行為をただ繰り返すWALL・Eの行為は虚無の極致(カミユの「シーシュポスの神話」を彷彿とさせる)。

そんななか、ある日、地球にロケットが舞い降りる。なかから出てきたのは最新型ロボットのEVE。

その美しく洗練されたEVEと出会うことで、初めてWALL・Eは単調な毎日から抜け出すことになる。そして、EVEが危機に陥ったとき、新たな冒険に繰り出すことになるーー。

ここから先のストーリーはネタバレになるのでやめておきますね。

『WALL・E/ウォーリー』がすごいのは、SF映画と無声映画とミックスしていることだ。なにしろ主人公がロボットたちなので、台詞がほとんどない。でも、身振り手振りによる感情表現が豊かで、おまけにR2-D2の音を生み出したベン・バートさんがサウンドデザイナーを務めているから、ロボットたちが考えていることが手に取るようにわかる。幼稚で遊び心たっぷりの少年WALL・Eと、洗練された知的女性EVEという組み合わせもいい(スタントン監督は『アニー・ホール』のウディ・アレンとダイアン・キートンをイメージしたそうだ)。

WALL・EとEVEとの間に割って入る筆者。


『WALL・E/ウォーリー』の日本公開は12月なので、今回はこのへんで!